ジョン・グラスコック解雇の真相 [c:TULL Trivia]
JETHRO TULLの音楽的な全盛期が70年代だということは誰しもが認めるところだと思う。また、ほとんど不動だったラインナップも奇しくも1979年に分裂してしまうのだから面白い。
イアン・アンダーソン(Vo,Flute,G)、マーティン・バー(G)、ジョン・エヴァン(Key)、バリモア・バーロウ(Dr)、ジョン・グラスコック(B,Vo)、デイヴィッド・パーマー(Key,Sax)という全盛期ランナップの崩壊の発端は、1978年に心臓病のためジョン・グラスコック(John Glascock)が一時離脱したことにある。
もっともこの頃にはメンバー間の仲は相当険悪になっていたという話だが、グラスコックの離脱がその後の崩壊に大きく影響したことは事実である。
また、同じタイミングでグラスコックとバリー・バーロウは新バンドの結成を目論んでいた。
2人はそのまま自発的に脱退する腹積もりだったようだが、少しばかり予定が狂う。心臓病の悪化のため「STORMWATCH」のレコーディングに参加できなくなったグラスコックは、イアン・アンダーソンに解雇されてしまったのである。
前フリが長かったが、このイアン・アンダーソンの仕打ちが今回のテーマだ。
大体わざわざ解雇する理由が分からない。すぐに後任のベーシストを入れるわけでもなく、残りのベースパートはアンダーソン自身が弾いた。しかもわざわざグラスコックが弾いたテイクと比べてヴォリュームを大きくしてまで。
そこで「イアン・アンダーソンはジョン・グラスコックを嫌っていた説」が浮上する。グラスコックの親友だったバリー・バーロウが積極的にこれを吹聴しており、これが原因で一時期アンダーソンとバーロウは犬猿の仲だったという。
オフィシャルサイトのBarrimore Barlowの項が一時期空白だったのは、この喧嘩のアオリでバーロウが記事の削除をバンドに求めたためだ。
アンダーソンがグラスコックを軽く見ていた、というのはライヴのMCからもなんとなく伺える。変てこなジョークでグラスコックをイジメてたりする。でもこれってマーティン・バーもやられているので愛情表現なのかもしれないケド・・・
あと、バーロウの証言によると、アンダーソンはグラスコックのいかにも労働者階級なライフスタイルが気に食わなかったらしい。
英国特有の階級意識というヤツだろうか。
アンダーソン自身はミュージシャンとして富貴を得るだけでなく養鮭業で実業家になるような男である。ここに彼のUpper Middle Classへの上昇志向が垣間見れないか。少年時代からの仲間であるジョン・エヴァンやジェフリー・ハモンドもバンドで儲けた金を投資にまわすような連中である。一般のWorking Classとは一線を画している。
思うに、アンダーソンは労働者階級のライフスタイルにとどまっているヤツが気に入らないのではないだろうか。
グラスコックのことは、プレイヤーとしては高く買っていたはずだ。でなければ加入させない。入れてみて、彼のライフスタイルに嫌気がさしたのだろう。さらに、心臓病でレコーディングに参加できなくなったので、この機会にと解雇したんだと思う。
そりゃバーロウも怒るわな。
確たる証拠はなく、推測だけど。
まあ少なくともアンダーソンがグラスコックに冷たかったのは事実だろう。
・・・そういえば、似たような理由で解雇になった人がもう一人いたな。グレン・コーニックだ。
ちなみに、イアン・アンダーソン自身はライフスタイルや階級意識でジョン・グラスコックを解雇したという話は否定してます。
ま、そりゃそうだ。
2004-09-12 22:08
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