SSブログ

BLACKFOOT - SIOGO / 革命と反乱 [j:CRITIQUE OBLIQUE]

Siogo
大大大好きなアルバムを一枚紹介。

「SIOGO / 革命と反乱」は米のサザンロックバンドBLACKFOOT / ブラックフットが1983年にリリースした名盤。メロディックロックの名作として名高い。全米第82位、全英第28位。


サザンロックが低迷する中、80年代に見合った音楽性にシフトすることを目論んだBLACKFOOTはキーボーディストを加入させようとし、Jon Lord(ジョン・ロード)に白羽の矢を立てる。
一見あまりに高望みだろと思ってしまうが、Lordが当時在籍していたWHITESNAKE / ホワイトスネイクは低迷していた頃なので案外良いチョイスだった・・・が、LordはDEEP PURPLE / ディープ・パープル再結成を水面下で進めていたため残念ながら叶わなかったのだという。


で、次にURIAH HEEP / ユライア・ヒープを脱退して暇そうにしていたKen Hensley(ケン・ヘンズリー)を狙う。紆余曲折あったがハモンドB3で釣り加入させることに成功する。当時のHensleyは金銭的にもどん底だったため選択肢はなかった。


結果的にこの試みは大成功で、アルバム「SIOGO」(本来はアメリカンネイティヴの言葉で友人、仲良しの意だが、その実"Suck It Or Get Out"の略だった)はバンドが従来持っていたメロディセンスの良さをいっそう推し進めた傑作となった。


一般にKen Hensleyの加入で劇的に音楽性が変わった、ブリティッシュロックになった、等と言われている。しかし、元々FREE / フリーの"Wishing Well"を演ったり"Highway Song"等でWISHBONE ASH / ウィッシュボーン・アッシュばりのメロディアスツインギターを聴かせたりしていたバンドである。キーボードの追加がバンドが本来持っていたメロディ路線のベクトルを強めた、という印象が強く、リーダーのRicky Medlocke(リッキー・メドロック)のコントロール内の、HensleyではなくMedlockeの志向通りの作品だと思う。


もっとも、Ken HensleyはJon Lordと異なり、曲が書けるだけでなく歌えてギターも弾けた。これはバンドにとって嬉しい誤算だったかもしれない。
ただし、Hensley自身はかなり居心地が悪かったバンドだったようで、自伝でも自らの音楽的な貢献についてはほとんど触れていない。やはり、BLACKFOOTは人間的にも音楽的にもRicky Medlockeが中心人物だったのである。


ほとんどの曲はこれまで通りRicky MedlockeとJackson Spires(ジャクソン・スパイアズ)が手がけている。が、さすがにKen Hensleyはプレイ面で新入りとは思えないほど目立っている。


Hensleyが持ち込んだ1曲目の"Send Me An Angel / 嘆きのエンジェル"はアルバムの中でも異色。
「ブリティッシュロックになった」という指摘はこの曲については特に当たっている。ブリティッシュ好きにとってこれは名曲中の名曲であり、URIAH HEEPを含めたKen Hensleyのキャリアの中でもトップクラスの傑作だろう。この曲は従来のBLACKFOOTの音楽性から劇的にかけ離れている。


"Crossfire"は個人的には"Send Me An Angel"の次に好きな曲。Jon Lordっぽいオルガンが実にブリティッシュ・ロックである。
"Teenage Idol"は"Send Me An Angel"とともにシングルカットされたポップなハードロック。やはりHensleyのプレイが際立つ。(下にプロモ映像あり)
"Drivin' Fool"はもろ"Highway Star"。Jon Lord入れたかったんだねえ。しかしHensleyはオルガンではなくスライドギターをプレイ。意地か?


どの曲も良く捨て曲はない。"Send Me An Angel"ばかり聴いていてはもったいないですぞ。
ま、全体的にややヒネリが足りない気がしないでもない。あっさりしているというか・・・良い曲なのにもったいないというか・・・"Send Me An Angel"と"Teenage Idol"は出色の出来なのだが。


名盤だと思うのだが、思ったほどセールスが伸びなかったためレコード会社に愛想を付かされ、BLACKFOOT解散の道筋を作ってしまった悲劇の一枚でもある。


1. Send Me An Angel / 嘆きのエンジェル (Hensley/Williams)
2. Crossfire / クロスファイア (Medlocke/Spires/Hargrett/Barth)
3. Heart's Grown Cold / ハーツ・グロウン・コールド (Cleminson)
4. We're Goin' Down / ゴーイン・ダウン (Medlocke/Spires)
5. Teenage Idol / ティーンエイジ・アイドル (Medlocke/Spires)
6. Goin' in Circles / ゴーイン・イン・サークルズ (Medlocke/Spires)
7. Run for Cover / ラン・フォー・カヴァー (Medlocke/Spires/Hensley)
8. White Man's Land / ホワイト・マンズ・ランド (Medlocke/Spires)
9. Sail Away / セイル・アウェイ (Medlocke/Spires/Hargrett/Hensley)
10. Drivin' Fool / ドライヴィン・フール (Medlocke/Spires)

Rick Medlocke - lead vocals, guitars
Jackson Spires - drums, backing vocals
Ken Hensley - keyboards, vocals, slide guitar on "Drivin' Fool"
Charlie Hargrett - guitars
Greg T. Walker - bass guitar

[E:book]参考
Hensley, Ken, and Penzel, Matthias. Blood On The Highway - When Too Many Dreams Come True, Grosser & Stein GmbH (2007)
(13th August 2008) Charlie Hargrett's BLACKFOOT HISTORY
http://www.siogo.com/blackfoot_history/blackfoot_index.htm





--
↓よかったらクリックお願いします↓
人気blogランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。